転職をする看護師が増加している

日本では看護師が仕事の不満や人間関係のトラブルなどで転職するということはあまり多くはなかった。むしろ安定職だからという理由で選ばれていた傾向が強いのが看護師の特徴だろう。家事や育児との兼ね合いで退職してしまうことが多いのは問題視されてきたものの、不満やトラブルで転職という道を歩む人はあまりいなかったのには理由がある。

日本では終身雇用を原則としてきていたため、転職するのがどの業界でもあまり好ましいとはされてこなかった影響が大きい。スキルアップやキャリアアップのための転職など、もってのほかであった。しかし、欧米の影響を受けて転職をしてより自分が求めるライフスタイルを実現するのが良しと考えられるようになり、看護師も活発に自分に合った職場への転職を検討するようになってきたのである。

このような社会的情勢の変化を受けて、病院側も中途採用を積極的に行おうと考えるようになってきた。キャリアアップを目指す人や経験者を雇用することで、業務の引き継ぎもスムーズに進み、また、業務にも熱心に向き合うため、病院の質も上がるのだ。病院が常勤や非常勤の人材だけでなく、派遣社員や契約社員も積極的に活用するようになってきたのも、働き方の選択肢を広げることで病院だけでなく、看護師との互恵関係が生まれるからである。

これに加えて大きな影響を与えているのが看護師専門の人材紹介会社が増えていることである。病院も人材紹介会社を通じて看護師を獲得する傾向が強まっているため、看護師は最小限の苦労で魅力的な条件で働ける職場を見つけ出せるようになっている。このような社会の変化が看護師に転職を検討させるように働きかけているのである。